将来を見据えたシニア向け介護リフォーム その2
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- 2018.01.18
- 成増店
先週に引き続き、リフォームのTAKEUCHI成増店が、「将来を見据えたシニア向け介護リフォーム」についてお話しさせていただきます。最後には介護保険のしくみや助成金についてもご紹介したいと思います。
先週までのお話しはこちらから
1.シニアになっても安心できる住まいのリフォームポイント
(住まいの箇所で詳しくご紹介)
2介護保険で住宅改修費用の助成金って?
1.シニアになっても安心できる住まいのリフォームポイント
【トイレ】
段差等の転倒・転落についで多いのが、浴室やトイレでの事故です。
高齢になってくると足腰が弱くなってくるので、和式は困難になるため、洋式へ取替える方が多くいらっしゃいます。またトイレの使用回数が増えるので、暗がりを歩いてつまずいたり、寒い廊下で体を冷やすことがないようにしたいものです。
<トイレの広さを考えよう>
今までは、出来るだけリビングや収納などのスペースを確保するため、トイレの広さは最小限度だったかもしれません。でもこれからは、使いやすさや介護のことを考慮して、トイレの広さにも配慮していくことが大事です。
トイレの大きさとしては、通常自立して排泄動作できる広さは、間口910mm奥行き1365mm程度です。奥行きが1820mm、出入り口が800mmあれば、車いすの使用も可能となります。介助が必要なときは、前や横に500mm以上のスペースが必要となります。介助が必要ない場合はむやみにスペースを広げないほうが安全です。転倒などがあった際には、適度な距離に壁があれば体を支えることができますが、広すぎる空間ではそのまま転倒し、頭部等を打ってしまう可能性があるからです。
<トイレの手すりはどんなものがいいの?>
トイレの手すりは4種類あります。
①立ち座り用の縦手すり
②座位保持用の横手すり
③縦と横を合わせたL型手すり
④介助のとき邪魔にならないように可動式手すり
それぞれ特徴があるのですが、大事なのは、設置する位置です。
便器から立ち上がるときの縦手すりの位置は、身体機能が低下すると便器から遠い位置・低い位置のほうが使いやすくなるなど、種類によって適切な位置・高さがあります。
以前にこのようなトイレのリフォームをさせていただいたお客様は、固定式の手すりと可動式の手すり両方を採用していただきました。介助が必要になっても大丈夫なスペースを作り、壁には消臭効果のあるエコカラットを採用していただきました。
「昔は暗くて寒いトイレだったので掃除したくないし使いたくなかったけど、リフォームしたら明るくて使いやすくなった」とのお声をいただき、とてもうれしかったのを思い出します。
<意外と大事なトイレの出入り口>
トイレの出入り口は引き戸をお勧めします。万が一のとき、中で人がドアに倒れかかっていると外から開けられなくなってしまう危険性があるからです。もし引き戸のスペースが取れない場合は、外開きドアにすることで、上記の危険性を避けることができます。
【浴室】
トイレと同じ理由から、浴室にも手すりを取り付けることをお勧めします。
浴室の手すりには下記の種類があります。
①出入り口用縦手すり
②洗い場立ち座り用縦手すり
③洗い場移動用横手すり
④浴槽出入り用縦手すり
⑤浴槽内での立ち座りや姿勢保持用のL型手すり
浴槽の手すりもそれぞれ特徴や用途がありますので、使われる方にとってどれが必要か検討する必要があります。
<浴室3点セット>
手すりに加えた以下の3点は、介護等を考えたときの、基本的な浴室リフォームの内容です。ユニットバス交換などで比較的簡単に実現できる内容です。
①浴室の戸は引き戸にするだけでなく、介助者や車いすが出入りしやすいように3枚引き戸にする
②浴室は滑りやすいので、洗面室と浴室は段差をなくす
③浴槽のまたぎ高さは400~450mm程度とし、またぎやすくする
【浴室・トイレでのヒート・ショックに気をつけて】
浴室・トイレは、室温の急激な変化によるヒート・ショックが起きやすい場所です。暖房便座や暖房設備の設置をお勧めしています。「トイレに暖房なんて・・・」とおっしゃるお客様もいらっしゃいますが、冬のトイレでヒート・ショックが起こることが少なくありません。短時間であたたまるもので、安心・快適な時間を過ごしてください。
<ヒート・ショックとは>
ヒート・ショックとは、温度差による肉体的ショック症状のことです。
暖かいリビングから、冷えた浴室で、熱いシャワーを突然浴びるなどの、急激な温度差で、心臓に大きな負担をかけてしまい、心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中、不整脈などのリスクを伴います。軽い失神だけでも、滑って頭を打ってしまうなどの危険性があります。
ヒート・ショックは特に寒い冬のシニアの方に多く見られる事象です。
対策としては、とにかく温度差を作らない、小さくすることです。
浴室やトイレに暖房を入れる、事前にシャワーで浴室を暖めておく、湯温をぬるめに設定するなどの対策があります。
【非常時の対応しやすい住まい】
日々の暮らしへの配慮も大事ですが、いざというときへの備えも大事です。
以下はシニアの方にとって大事な非常時を考えた住まいのポイントです。
1. 火災や地震などのことを考えると、寝室は玄関や庭に出やすい場所が安全
2. タンスや家具の転倒防止も重要
3. 窓や家具にはガラスの飛散防止フイルムを張る
4. ガラス等が飛散しても移動できるようにスリッパや靴があると安全
5. 火災警報器やガス漏れ警報機や消火設備なども忘れずに
核家族化が進んだ日本社会では、ご夫婦のみで住まわれ、お子さんは遠くにいらっしゃることも多いかと思います。非常時に備えておくことは、ご夫婦の日常の安心にもつながりますし、お子さんなどご家族の安心にも不可欠です。
ひとつひとつは小さなことですが、積み重ねることで大きな安心を得られる手段かと思います。
2.介護保険で住宅改修費用の助成金って?
<対象者は?>
介護保険の認定を受けている方。要支援1・2、要介護1~5の方。
<費用は?>
住宅改修費に対する支給限度額(20万)の範囲内で、かかった費用の1割が自己負担となります。(18万円が上限となります)
例えば、対象工事が25万円の場合、自己負担は7万円となります
(20万の1割なので2万円+20万を超えた額なので5万円)
<どんな工事が対象なの?>
① 手すり取付
② 段差の解消・・・スロープの設置、敷居の撤去、浴室の床のかさ上げなど
③ 滑りの防止及び移動の円滑等のための床又は通路面の材料の変更
④ 引き戸等への扉の取替え
⑤ 洋式便器等への便器の取替え
⑥ その他上記の工事内容に付帯して必要となる工事
高齢化が進んでいるといわれる日本の住まいも、まだまだ対策が進んでいません。
段差の解消や滑り止め、手すりの設置、介護を見越した浴室・トイレスペースの確保、ヒート・ショック対策など、シニアの方も安心して暮らせる住まいづくりには、いくつかのポイントがあります。介護保険を上手に利用して、将来安全で安心して暮らせる住まい作りをしていただければと思います。
記事:東京都板橋区 リフォームのTAKEUCHI成増店