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耐震リフォームとは?築年数やリフォーム方法・費用などを解説

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  • 2024.09.19


「大地震に備えて耐震性を強化したい」「耐震リフォームを検討しているけど、いくら必要か分からない」こういったご相談をよくいただきます。耐震リフォームとは、文字通り耐震性を強化するリフォームのことで、地震が起きても倒壊しないようにするものです。
本記事では、耐震リフォームの検討目安やリフォームの方法を解説するとともに、費用や補助金についてもご紹介します。大切な命を守るために、ぜひ参考にしてください。

《目次》
【1】 耐震リフォームの検討は建物の建築時期が大きく影響する
【2】 耐震リフォームの方法
【3】 制震リフォームとは?
【4】 TAKEUCHIの耐震リフォーム実例
【5】 耐震リフォームの費用目安
【6】 耐震リフォームの補助金
【7】 まとめ

【1】耐震リフォームの検討は建物の建築時期が大きく影響するはじめに、どんな建物が重点的に耐震リフォームを検討するべきかの目安をご紹介します。その上で大きく影響する要素が、建築時期とそれに準ずる耐震基準です。ここでは、建築時期について下記3つに分けて概要を解説します。

【建築時期】
・1981年5月以前
・1981年6月〜2000年5月
・2000年6月以降

■ 1981年5月以前
1981年5月以前に建てられた家は、震度5程度の地震が発生した際に「倒壊しないこと」を目的として設計されており、現行の耐震基準を満たしていません。震度6以上の地震に対しては特に強固な基準が設けられていなかったため、大きな地震には脆弱である可能性が高いと言えますのでリフォーム会社による「耐震診断」を受けることを強く推奨します。

■ 1981年6月〜2000年5月
1981年6月〜2000年5月までに建てられた家は、現行の耐震基準を満たしていない可能性が考えられます。1981年6月の建築基準法改定により、震度6強~7程度の大規模地震に対して建物が倒壊・崩壊しないことを基準とし、耐震壁量の増量や、壁倍率の数値改定などが行われました。しかし1995年の阪神淡路大震災では新耐震の木造住宅でも被害が出たことで、2000年に新たに耐震基準が定められました。以上のことから、2000年6月以前に建てられた住宅は現在の耐震基準を満たしていない可能性も考えられるため、耐震診断を受けることを推奨します。

■ 2000年6月以降
2000年6月以降に建てられた家は、現行の耐震基準を満たしている家になります。2000年6月の建築基準法改定により、地盤に応じた基礎の設計や耐力壁のバランスの考慮、細かな規定を満たした接合金物の使用が法令で定められるようになりました。2000年6月以降に建てられた家は基本的に安全性が高く、耐震診断の必要はありません。つまり、建築時期から考えられる耐震リフォームの目安は、2000年6月以前に建てられた家が検討するべきと言えるでしょう。

■ その他耐震リフォームが必要なケース
ここまで、建物の建築時期を目安に耐震リフォームを検討するべきケースを解説しました。また、2000年6月以降に建てられた家であっても、下記内容の1つでも当てはまる場合は耐震リフォームのご検討をおすすめします。
・シロアリが発生した
・基礎にひびがあった
シロアリ被害や基礎にひびが見られたりするなど家の劣化につながる現象は耐震性に影響する内容であるため、耐震リフォームをご検討ください。

【2】耐震リフォームの方法
では、具体的に耐震リフォームはどのような方法で行われるのか気になる方も多いのではないでしょうか。耐震リフォームを行う際には屋根の重さや壁の量、壁の配置バランスなどを考慮し補強計画を立てますが、ここでは、代表的な4つの方法についてご解説します。

・壁の補強
・耐震金具の設置
・屋根の軽量化
・基礎の補修

それぞれ順番に見ていきましょう。

■ 壁の補強
壁の位置を見直し、壁を増設・補強し、家全体の壁のバランスを調整することで耐震性を高める工事です。
壁の増設や補強は壁を一度剥がし、再度張りなおす作業が発生するため、間取り変更や内装工事など家全体のリフォームと合わせて行うことがおすすめです。

■ 耐震金具の設置
耐震金具の設置は、柱や土台が交わる部分に耐震金具を新たに設置し、耐震性を高める方法です。
他の工事方法と比較して、工事規模や費用が抑えられる傾向にありますが、柱や土台の数、面積等によっては費用が高額になるケースもあることを覚えておきましょう。

■ 屋根の軽量化
屋根の軽量化は、主に瓦で作られた屋根を軽量素材に変える方法です。建物にかかる負荷を抑えると、耐震性を強化することができるのです。一方で、壁の増設のほうが安価に抑えられるケースも見られます。

■ 基礎の補修
基礎の補修は、ひび割れている部分を補強する工事です。

【3】制震リフォームとは?
当社リフォーム実例:耐震診断をもとに、1階を中心に制震ダンパーを設置しています。
ここまで、耐震リフォームに関する内容を解説してきましたが、中には制震リフォームを検討する方もいます。
制震とは、建物の内部にダンパーなどの制震装置を設けて、地震による揺れを小さくすることで建物の崩壊を防ぎます。繰り返される揺れや台風・強風などの揺れにも有効に働きます。近年では木造住宅のリフォームにおいては、耐震補強を十分に行った上で、合わせて制震リフォームを行う方法が取られています。

【4】TAKEUCHIの耐震リフォーム実例
より具体的に耐震リフォームをイメージしていただくために、TAKEUCHIの耐震リフォーム実例を3つご紹介します。

【実例1】耐震+制震リフォームで三世帯が長く快適に暮らせる家へ
【実例2】築50年の住まいを基礎から見直すスケルトンリフォーム
【実例3】抜けない柱を活かした狭小住宅の耐震フルリフォーム

それぞれ順番に見ていきましょう。
【実例1】耐震+制震リフォームで三世帯が長く快適に暮らせる家へ
当社リフォーム実例
築40年の戸建てのお住まいです。老朽化に加え、お子様達が大きくなるにつれ手狭になってきたことや、将来的には子供部屋も用意してあげたいとのご要望からリフォームのご相談をいただきました。これからお孫様の世代まで長く暮らせるよう、30年先の快適・安心までを見据え耐震工事を行いました。筋交いや金物と合わせて「制震ダンパー」も採用しました。制震ダンパーは地震のエネルギーを吸収し揺れを抑えるだけでなく余震のような継続的な揺れへの耐久度を上げ、倒壊への危険性を抑制します。

【実例2】築50年の住まいを基礎から見直すスケルトンリフォーム
当社リフォーム実例
ご高齢のお母様と離れて暮らしていたお嬢様からのご依頼で、住み慣れたご実家で一緒に暮らすためのリフォーム相談をいただきました。築50年になるお住まいは、耐震性の不安や寒さにもお困りでした。基礎から見直しを行い、スケルトン状態から階段や窓の位置、間取りも大きく変更しました。耐震改修と合わせて断熱工事も行い、安心して暮らせる住まいが完成しました。

【実例3】抜けない柱を活かした狭小住宅の耐震フルリフォーム
当社リフォーム実例
戸建てのお住まいの大規模な間取り変更と、耐震面でもご相談をいただきました。現在の耐震基準に満たすため、一度スケルトン状態に解体し、基礎から耐震補強をさせていただきました。
リビングの中央に構造上「抜けない柱」がありましたが、それを活かして棚を造作。あえてそのままの質感を活かし、植栽や小物を飾れるようにしました。

【5】耐震リフォームの費用目安

耐震リフォームを実際に行う場合、どの程度の費用が必要になるか気になる方も多いと思います。
耐震リフォームの費用はリフォーム内容によって大きく異なるため、一概に言えませんが、平均すると100万円〜300万円のケースが多い印象です。
耐震リフォームの内容によっては、工事内容の組み合わせ次第では400万円以上にのぼるケースもあるため、間取り変更など生活空間のリフォームと合わせて工事することもおすすめです。全面リフォームの場合の費用目安は1000万円~となります。
費用感を知りたい具体的なリフォーム内容の提案を受けたい場合はまず耐震診断を受けてみましょう。

【6】耐震リフォームの補助金

実は、耐震リフォームでは補助金を使えるケースがあります。補助金の内容や条件は各自治体によって異なるため、ここでは東京都北区の例をご紹介します。
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▼条件
● 平成12年5月31日以前に建築に着手した2階建て以下の住宅であること
● 耐震診断の結果、Iw値(構造耐震指標)が1.0未満であること
● 耐震改修工事後のIw値(構造耐震指標)が1.0以上になること
● 申請前に事前相談をすること等
▼限度額
● 工事費用の3分の2(上限)100万円〜150万円
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通常の限度額は100万円ですが、高齢者世帯の場合は上限が150万円に引き上げられます。
各自治体によって異なるため、まずは自治体のホームページを確認するのがおすすめです。また、ホームページを見ても分からない場合は自治体に問い合わせたり、リフォーム業者と確認しながら進めたりするのが良いでしょう。

【7】まとめ
本記事では、耐震リフォームについて解説をしてきました。耐震リフォームを行うことで、将来発生するかもしれない大地震に備えるとともに、家族や自身の命を救える可能性を高められます。

耐震リフォームが必要か分からない、耐震性に気になる方は、まずお気軽に耐震診断をご利用ください。