住まい・暮らしのリフォームコラム

メーカー&職人インタビュー 【Vol.06】

リフォームの後の住まいを
より快適に美しく見せる収納 .part2 

2018年4月16日

前回に引き続き、整理収納アドバイザーとして住宅やオフィスの整理、収納方法の提案を行う、いわば“お片付けのプロ”、インブルーム株式会社の伊坪美和さんと、リフォームのタケウチマネージャーによる、「収納の対談」をご紹介させていただきます。 <前回までのお話しはこちらから>

【キッチンの収納】 コックピットのように使うキッチン

タケウチマネージャー(以下Mさん)まずは多くの方がお悩みのキッチンから。せっかくオシャレなオープンキッチンにしたのに、収納がうまくできずに、気付いたらカウンターやシンクの上に物がいっぱい、ということは多いです。
「古いキッチンのほうがいっぱい入ったわ」なんていう方が、年配のお客さまを中心に結構いらっしゃるんですよ。

伊坪さん私たちのところにも、「せっかくリフォームしたのに、前のほうが使いやすかった」というご依頼が来ることがあります。でも実際には、入れ方を間違っているだけなんです。入れ方を整えてあげるだけで「リフォームしてよかった」という声に変わります。

 

伊坪さん例えば、観音扉からスライドの引き出しに変わるだけでも物の入れ方は変わります。この場合の大きな違いは高さが確保できなくなること。シンクやコンロの下に入れる物って、鍋やフライパンなど大きな物が多いので。以前の場所に以前と同じように入れようとして、入らなくなったと感じるケースが多いのです。
ポイントは、どこで何を使うかを考えて収納することです。キッチンは、コックピットの操縦士のように使うのが理想なので。

Mさん「コックピット」ですか?

伊坪さんはい。一歩も動かずに作業ができるように収納していきます。料理のときに移動がなくなると料理の時間にも無駄がなくなりますので。
パスタ鍋とかおヤカンなど、最初に水を入れる物はシンクの下にあったほうがいい。でも、フライパンや天ぷらなべなどは最初から火にかける物なので、コンロの下にあったほうがいいですよね。カラトリーも同様です。フライ返しなど火で使う調理器具はコンロの下に、泡立て器など作業台で使う器具は作業台の下にあったほうがいい。ボールやざるも作業台の下がいいですね。こうした要領で、引き出しの中をゾーニングをしていくと使いやすくなるんです。
実際のキッチンを使って、ポイントをお教えしますね。

基本は「タテ収納」
スライド式の引き出しで鍋やフライパンを大きい順に積み重ねるのはNG。上から見て何が入っているのか一目瞭然になる「タテ収納」が基本。

 

 

 

1アイテム1収納
みりんやサラダ油など細身のボトルも立てて収納。直接入れずに、仕切りを設けて立てて入れていく。写真の間仕切りは曲がらず丈夫なステンレス製のインブルームのオリジナル商品。100円ショップなどで入手可能なファイルボックスで代用が可能。

 

 

シンク・コンロ下に食べ物を入れない
お米などの食品類を、湿気、熱がある場所に入れるのはNG。入れるなら作業台の下や吊り戸棚、パントリーなどの食糧庫に入れるようにして、新鮮さを保ちたい。

 

 

 

よく使う物だけを「ゴールデンゾーン」に

Mさんお客さまのところに行って、手元に近い上段の引き出しを開けたら、だいたいお玉などのカラトリーが入っていると思うんですが、ガチャーンって、とにかくいっぱい入っていることが多いですよね。

伊坪さんカトラリーはここに、調理器具はここにいれないといけない、という思い込みがあるせいで、いっぱい入っているんだと思います。
「整理」は分ける作業が基本ですが、ここでは、使用頻度で分けていくとうまくいきます。同じお玉でも毎日のように使うお玉はその位置でいいのですが、年末に親戚が集まる時にしか使わない大きなお玉は頭上の吊り戸棚に入れておけばいい。
私たちは、目から腰の高さを「ゴールデンゾーン」と呼んでいるんですが、ここに置く物はよく使う物に限ってしまい、めったに使わない物は、一つにまとめて違う場所に収納する。これも使いやすいキッチンにするコツですね。

Mさんなるほど。最近お客さまから、「届かないから吊り戸棚はいらないよ」という声を聞くんですが、めったに使わない物を収納する場所と考えると、あってもいいですよね。

伊坪さんお重やごくたまに使うお菓子作りの道具など、あまり使わない物を入れておくといいですね。もう一つのアイデアとして、あえて何も入れずに空けておくというのもいいと思います。そうすることで、お中元やお歳暮が届いた時に、一時的に入れておく場所にするという使い方もできます。物量が多い方は、壁面収納や吊り戸棚は作っておかれたほうがいいと思います。

Mさん収納が足りなくて、調味料や不要な物がキッチンに並んでしまうと、見栄えが悪くなるだけでなく、お掃除もしにくくなりますものね。

伊坪さんよく調味料をコンロ周りに置く方がいますが、油汚れがついて拭く作業が増えてしまいます。ちゃんと収納場所に入っていれば、こうした余計な手間はかからず、家事の時短につながります。忙しい方ほど上手な収納を心掛けてほしいですね。

 

 

 

― 流し・コンロ・冷蔵庫の3つ、ワークトライアングルがバランスよく配置されたキッチンが使いやすいと言われてますが、コックピットは面白い例でした!アイテムごとにまとめがちなキッチングッズですが、収納のプロは、使うシーンで分けているんですね。

次回は、押し入れを活用した収納術についてご紹介します。
リフォームのプロに聞いてみた! 【Vol.06  part3】は、4月30日に更新予定です。