リフォームの後の住まいをより快適に美しく見せる収納
2018年4月9日
今回は、整理収納アドバイザーとして住宅やオフィスの整理、収納方法の提案を行う、いわば“お片付けのプロ”、インブルーム株式会社の伊坪美和さんと、リフォームのタケウチマネージャーによる、「収納の対談」をご紹介させていただきます。
― 今回は、対談に合わせて実際の住まいをお借りして、暮らしをイメージしながら収納についてお聞きしました。
【収納の重要性】 リフォーム後、物に定位置を決める
タケウチマネージャー(以下Mさん)今日は「収納」をテーマにお話を伺うのですが、伊坪さんはどうして「整理収納アドバイザー」に?
伊坪さんこの質問、よく聞かれます。そうですよね。普通に考えると、なんで面倒くさいのに、人の家を片付けてるんだろう?って思いますよね(笑)。
元々「片付け」が好きで、小さい頃から部屋の模様替えなんかをするのが好きだったんです。
それに、収納って奥が深いんですよ。
Mさん収納は、リフォームでも一つの大きな要素で、水まわりを新しくしたり、内装をきれいにしても、収納がうまくできていないときれいに見えないんですよね。
収納のプロである伊坪さんには、やはり多くの相談が寄せられるのでしょうか?
伊坪さんはい、おかげさまで相談は多いです。特に引っ越し後、リフォーム後のご依頼は増えています。収納スペースがどれだけ広くていいものであっても、物の入れ方を間違えると、使いにくくなってしまうんですよ。
Mさん私たちリフォーム会社の仕事の後の部分ですね。使いやすく工事はするのですが、その後に、どれを・どこに・どう置くか、というのは悩みどころかもしれません。
伊坪さんリフォーム後、物に定位置を決めていくことは大切です。
おそらく、タケウチさんには「収納スペースをとにかく大きくしたい」というご依頼が多いのではないかと思いますが、私たちはお客さまの物から収納のサイズを考えたほうがいいと思っていて、例えばリビングの横にあまりにも奥行きの深い収納を作っても、使いづらくなってしまう。何を入れたいかで奥行きや幅を決めたほうがうまくいくと思います。
Mさん確かに、二人暮らしなのに、大きな収納を設けるためにたくさんの空間を使ってしまっていて、その分広いリビングを作れば、ご友人と楽しい時間を過ごせるかもしれないのに、と思った事例もありました。工事に入らせていただく前の段階で荷物の量を見せていただいて、収納サイズをご提案するわけですが、荷物の量を減らせば解決する、というような簡単なことでもないのが、収納の難しいところで…。
新しい住まいに何が必要かを選び取る
伊坪さん整理収納アドバイザーの「整理」の部分ですね。私たちも、「荷物が多くてリフォームができない」というご相談をいただくことが多いです。
よくお話するのは、「要るか要らないか」で分けてしまうと、全部「要る」になってしまうので、「今使うか使わないか」で分けて欲しいということです。
そして、「使う」「使わない」の2択ではなく、「迷う」を加えて3択にしてあげる。「迷う」という場所を作ることで安心して分けることができるのです。
お客さまには、何を捨てるか選ぶのではなく、次の新しい住まいに何が必要かを選び取るようにしましょう、とお話するのがいいと思います。
Mさんさすがプロですね。荷物の整理にお悩みのお客さまには、今教えていただいたようにお伝えしてみようと思います。
実際ご家庭を訪問すると、押し入れまでに辿り着くのが大変という方や、和室が物置きになっているという方が多いんですよ。
伊坪さん和室は風通しを良くしてこそリラックスできる場所になるもので、使わない物を置く場所にするのはもったいないですよね。それに、ローンなり家賃なり、皆さんそこにもお金を払っているわけですから。
よくセミナーなどでもお話するんですが、例えば4,800万円で80平米のマンションを買ったとして、6畳一部屋が物置になっていたとします。6畳というと、約10平米なので、単純計算で8分の1。600万円分のスペースを物置部屋にしているわけです。「600万円でレンタル倉庫を買いますか?」って聞かれると…、まず買わないですよね。
Mさん確かに、そう考えると本当にもったいないですね。では、具体的にどう整理・収納を考えていけばいいのか、教えてください!
― せっかくリフォームして大きな収納スペースを作っても、活用できてない・・・。なんてことがあったらもったいないですよね。収納にも技があるようです。そんな「プロの技」をもっと聞いていきたいと思います。
インブルーム株式会社 整理収納アドバイザー伊坪 美和さん
特定非営利活動法人ハウスキーピング協会認定整理収納アドバイザー1級取得。お客様宅に訪問し、ライフスタイルに合わせた最適な整理収納方法の提案を行う「お片付けコンシェルジュ」サービスや、不動産業、住宅業など、法人を通しての収納アドバイスも行う、お片付けのプロフェッショナル。
取材・文:Amiko KOGA (Escript) 撮影:Yutaka KONO(Furattto)
次回は、キッチンを例に具体的な収納術を聞いてみました。
リフォームのプロに聞いてみた! 【Vol.06 part2】は、4月16日に更新予定です。