住まい・暮らしのリフォームコラム

メーカー&職人インタビュー 【Vol.04】

美しく彩りながら保護する
住まいを長持ちさせるための外壁塗装

2018年1月29日

今回は、住宅塗装全般を手掛ける“塗装のプロ”、プログレペイント代表で塗装職人でもある高橋寛之さんと、リフォームのタケウチマネージャーさんによる「外壁塗装の対談」をご紹介させていただきます。

【塗装の種類】 塗料は壁を保護する

― 現在、リフォームのTAKEUCHIで外壁補修の工事を行っているお住まいをお借りし、取材をさせていただきました。

タケウチマネージャー(以下Oさん)今日は塗装のプロである高橋さんにお話を伺いますが、残念ながら、外壁塗装に対して前向きなお客さまって少ないんですよね。「雨漏りしているわけでも、剥がれているわけでもないのに、何十万、百云十万という金額をかけて塗り直す必要があるのかしら」とか「どうせお金をかけるなら、水回りを新しくしたいんだけど」とか……リフォームにおいて「無駄な支出」と思われがちであり、後回しにされがちなんですよね。

高橋さん気持ちはよくわかるのですが、外壁塗装は単に住宅の外観をよくするためだけのものではありません。塗料には住宅の壁を守る効果のあるものがたくさん含まれています。塗る場所に合わせて選び、適切な工程で塗ってこそ、その効果を発揮させることができる。

塗料の成分と特徴

Oさんそもそも「塗料」とは何か、ということからご説明いただけますか?

高橋さんはい。塗料は主に、色を左右する「顔料」、性能を左右する「合成樹脂」、それらを混ぜ合わせるための「溶剤」と、性能を安定させる「添加剤」、この4つから構成されています。

たくさんの種類があり、さまざまな分類方法があるので、非常にわかりにくいのですが、代表的なのは樹脂の種類による分類です。アクリル系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系と大きく4つに分けられ、順に耐候性が高くなります。つまり、雨風や紫外線の影響を受けにくくなるということです。外壁塗装、屋根塗装ではシリコン系が主流になっていますね。

 

Oさん最近「ラジカル塗料」というのが増えてきていますが、これは樹脂の分類でいうとシリコン系の一種ですよね。何が違うんですか?

高橋さん塗装の劣化を見る時に、白っぽい外壁を手で触って、白い粉のようなものがついてくる「チョーキング」と呼ばれる現象があるんですが、その原因となる「ラジカル反応」を抑制する機能を加えた塗料です。ただ、出始めたばかりなので、僕たちも塗って10年経った家は見たことがありませんし、まだ真の実力は分かりません。

Oさんほかにも、例えば「ガイナ」がよく知られていますが、断熱効果がある「遮熱塗料」や紫外線で汚れを分解する効果を持つ「光触媒塗料」など、最近は機能を加えた塗料の人気が高いですね。

塗料には適材適所がある

Oさん仮に先ほどの樹脂の違いの4つから、何を塗るかを決めるとして、フッ素が最高のグレードだからと、どんな場合もフッ素をおすすめすればいいかというと、そういうものではないんですよね。

高橋さんはい。例えばウレタン系塗料は、耐候性が高くないので屋根ではあまり使われませんが、粘性があって柔らかいので、うすい鉄やトタン、木部など、温度によって収縮するものに塗るのには適しています。逆に言うと、フッ素は、粘性が弱く固いので、振動で割れやすい。性能はいいし、汚れが付きにくくて、何年経っても艶は残るのですが、道路や線路沿いの住宅にはお勧めしません。

それに当然予算もありますよね。耐候性を必要としない室内においては、アクリル系塗料を使って価格を抑えることで、頻繁に色を変えて楽しむこともできます。

今の時代、塗料の種類や塗ることによる効果はスマホで簡単に調べられます。でも、それぞれに強みと弱みがあって、その点では施工する僕らだからこそわかることがある。お客さまには、そうしたご説明をしながら、それぞれの家の条件や予算に合ったものを選んでいただく必要がありますね。

― 塗料の成分から、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系などがあり、種類が異なること、またそれぞれの特徴とメリット・デメリットもよく分かりました。お住まいの環境条件や、耐久性、予算もよく検討して選ぶことが大事ですね。

次回は、外壁塗装の色選びについて詳しく聞いていきますのでお楽しみに。