美しく彩りながら保護する
住まいを長持ちさせるための外壁塗装.part2
2018年2月5日
前回に引き続き、住宅塗装全般を手掛ける“塗装のプロ”、プログレペイント代表で塗装職人でもある高橋寛之さんと、リフォームのタケウチマネージャーさんによる「外壁塗装の対談」をご紹介させていただきます。
<前回のお話しはこちらから>
【塗装の色選び】 視覚効果による見え方の違い
タケウチマネージャー(以下Oさん)種類以外にも、お客さまがよく悩まれるところなのですが、外壁の色選びについて具体的に教えていただければと思います。
高橋さん色は皆さん悩まれますね。外壁塗装はそう頻繁にやり直すものではありませんし、失敗したら10年以上そのままになるかと思うと、慎重になるのは当然です。
僕の場合は、お客さまにカタログや色見本で選んでいただいた上で、近い色4つ5つで、30センチ四方ぐらいの少し大きなサイズのサンプルをとり、もう一度お客さまに屋外でみていただいてから、最終決定するようにしています。なぜかというと、一つには、面積が小さいと色が濃く暗く見え、大きいと色が薄く明るく見えるという視覚効果があるからです。お客さまが小さな色見本で選ばれた色の一つ濃いものに決めた方が、イメージに近く仕上がります。
Oさん視覚効果といえばもう一つ、僕はよく色見本帳に黒やグレーの型紙をあててお客さまに見てもらっています。周りの白に影響を受けてぼやけて見えていた色が、コントラストがつくことではっきり見え、印象が変わってきます。
高橋さん電気の明かりか太陽光かによって色の見え方は大きく違いますし、日向か日陰かでも変わってくる。日当たりが悪い家では明るめの色を選んだほうがいいですね。あと、凹凸がある壁では、影の影響で色が濃く感じられることがあるので、やはり一段階明るいものをおすすめしています。色を1つ2つに絞ったら、実際の壁で試し塗りができると理想ですね。
Oさんお客さまからよく、「汚れが目立ちにくいのは何色ですか?」と聞かれますが、これについてはどうですか?
高橋さん白と黒は汚れが目立ちやすいですね。雨筋も、白壁ではグレーに、黒壁では白く出てきてしまう。純白はオフホワイト系、漆黒はグレー系で、汚れの目立ちを緩和します。また原色に近い色は、色あせ、劣化が目立つので避けた方がいいですね。
Oさん鮮やかな色を検討する場合は特に、隣近所とのバランスも意識したいですよね。区画全体で調和をとり、いい雰囲気を作ることで土地の値段があがる、ということも起こりえます。ちょっと家の周りを歩いてみて考えたほうがいいかと。
高橋さん本当にそうですね。あとよくあるのが、ツートンにする例ですが、その場合は、まず基本の色を決めてから、彩度が近い色で調和するものを選びます。7:3から6:4ぐらいの割合で塗り分けるのがキレイですね。
Oさんそういう調整は現場で行うのですか?
高橋さんいえ、事前に決めていただきますが、付帯塗装といって、雨樋や破風、縦樋などの、細かな鉄部、木部は現場でお客さまと打ち合わせしながら調合したりします。
例えば外壁がアイボリーなど薄めの色の場合、建物の隅にくるような破風をちょっと濃い色にすることで建物が引き締まって見えます。ベランダや手すりなどにアクセントに1色入れるのもいいですね。
ツヤのありなしでも見え方は変わる
Oさん塗料が艶ありか艶消しかでも色の見え方が変わりますよね。艶消しのほうが、少し白っぽい仕上がりになるかと。
高橋さんはい。艶消し、三分艶、五分艶、七分艶、艶ありとありますが、製品によっても見え方は違います。最近はつやつやした壁よりもマットな壁を好む方のほうが多いですよね。ただ、艶消しは汚れを吸い付けやすいので、外壁であれば三分艶ぐらいにしておいたほうがよいでしょうか。一方で、艶ありには陰影が分かりやすいという特徴があるので、凹凸がある壁、下地に粗がある場合などは、目立ってしまうこともあります。
あとは、漆塗りでもそうですが、艶は重ねることで出てくるものなので、二度塗りするか否かでも変わってきます。五分艶も塗り重ねていくとどんどん艶が出てくるんですよ。
― 塗布する面積、周囲の色の影響、凹凸でこんなにも色の印象が変わることに驚きました。簡単に塗り変えできるものではありませんから、アドバイスをいただきながら、色は慎重に選んだ方がよさそうですね。
プログレペイント代表取締役・塗装職人高橋 寛之さん
塗り替えに特化し外壁、屋根、内壁と、住宅塗装全般を手掛ける塗装のプロフェッショナル。
取材・文:Amiko KOGA (Escript) 撮影:Yutaka KONO(Furattto)
次回は、次回は塗装の工程、塗り方について詳しく聞いていきますのでお楽しみに。