住まい・暮らしのリフォームコラム

メーカー&職人インタビュー 【Vol.11】

愛着ある我が家に 長く安全に住むための耐震リフォーム.part2

2020年7月10日

安心・安全・健康・快適という視点で住宅はもちろん、公共・商業施設にも高機能な建材を提供する大建工業株式会社。多数ある主要製品の中でも、耐震リモデルに適した製品「かべ大将」は、耐震対策リフォーム工事に欠かせない建材です。そうした製品の販売促進に携わる升井 博之さんに、「これからの耐震リフォーム」について、リフォームのTAKEUCHIの耐震診断士NさんとリフォームエンジニアTさんが、話を聞いてきました。 ※当取材は、2019年2月に取材したものです。

2.耐震リフォームにかかる費用

耐震補助制度の活用で負担を減らす

Tさん耐震診断で、倒壊の可能性を指摘されたとして、究極の耐震化は建て直しかもしれません。でも、私が担当したお客さまで、法的に再建築ができない地域の場合もありましたし、思い入れのある家を残したいという方もいらっしゃいました。そこで耐震リフォームで家の強度をあげましょう、となるわけですが、どこまでやるかという問題が生じます。

Nさん我々としては、耐震診断の診断結果を基に、評点1.0以上にすることを目指す補強計画を立てるのですが、工事費のお見積もりを出す段階で「こんなにかかるなら……」と耐震をやめることが多くなってしまう。リフォームの優先順位とコストの部分で、変化が目には見えない耐震リフォームは後回しになりがちです。耐震の規準に則った「倒壊しない」「命を守る」ための補強計画ではあるのですが、試せるものではないだけに、お客さまが「補強してよかった」と感じにくいのも難しいところで。

升井さん費用の部分がネックになるのはよくわかります。少し古いですが内閣府が2004年9月に発表した「耐震化に関する特別世論調査※」の資料で、自宅の耐震性について「耐震性が不足している」と自覚している方は約47パーセント。それに対して「耐震改修する」という人は約25パーセント。それ以外の方は、家具の転倒防止など最低限の対策、もしくは、新築へ住み替えを検討など、危ないとわかっていてもやらないという人が多いのがわかりますね。※出典:内閣府広報室「住宅の耐震化に関する特別世論調査」

その理由として、トップにくるのが「工事費用が高価」で、耐震診断と補強計画、耐震工事を合わせると200万円を超えるケースが多いと聞きます。これに対して、「いくらぐらいまで出せるか」という耐震改修費用への期待値を見てみると、200万円まで出せるという人は2割ぐらいです。結局このギャップが問題なのかな、と。

Nさん耐震診断でも、精密診断となると30〜50万円かかってしまいますしね。

升井さん耐震補助制度をうまく使ってもらいたいですね。財団法人日本建築防災協会の資料「木造住宅の耐震改修の費用」 で挙げられている例では、床面積100平米ほどの2階建て住宅で耐震改修を行った場合の工事費が169万円。ここで地方公共団体による補助金が60万円出ていて、支払い金額が109万円となっています。国や地方公共団体が行っている助成制度や融資制度を活用することで、自己負担を軽減することができます。TAKEUCHIさんでも補助金を使った工事をなさっていますよね?

Tさんはい。自治体によって内容はさまざまで、同じ東京都でも、各区市町村によって条件、金額、申請方法が異なるので注意が必要です。手続きのサポートも含め、補助制度を最大限に生かして負担を抑えながら、耐震効果を上げるプランニングをしていますので、まずはお問い合わせいただければと思います。

 

組み合わせることで負担を減らす

Nさんあとは耐震化のタイミングとして、他のリフォームと組み合わせて行うことをお薦めします。トータルリフォームを行うことで、一度の工事で済みますし、床やクロスを張り替える費用の一部と耐震に掛かる費用の一部を相殺できるなど、経済的なメリットも大きくなります。

Tさん例えば、浴室のリフォームと合わせて、土台や柱など構造材を変更したり、筋交をいれたりする耐震補強を行ったり、雨漏り工事と合わせて、軽い屋根材に変更する屋根耐震のリフォームを行ったり、間取り変更によるクロス工事と一緒に、壁に大建さんのダイライトMUのような耐力面材を入れて「耐力壁(地震力を負担する壁)」を作ったり、というのが代表的な例ですね。

―耐震改修は、変化が目には見えないリフォームになるので、後回しになりがちなのも対策が遅れている一因かもしれませんね。 しかし、いつやってくるか分からないのが地震です。多くの地域で、耐震改修を対象とした補助金制度が用意されていますので、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか? このお話は、リフォーム体験談【コラムVol.11 part3】に続きます。お楽しみに!

 

リフォームコラム 【Vol.11 part3】は、2020年7月18日頃に更新予定です。