住まい・暮らしのリフォームコラム

メーカー&職人インタビュー 【Vol.16】

住まいに風合い豊かな無垢材を取り入れ いつもいつまでも心地よい空間をつくる

2021年1月15日

1935年に木材業として創業し、木との対話を通して、自然と人との調和から生まれる心地良さを提案している、株式会社ウッドワン。中でも無垢の木を使った床材は、創業当初から良質な住まいづくりに欠かせない建材として広く流通し、現在はキッチンや洗面台、建具、ファニチャーまで、無垢材の製品を展開しています。また、自社で製品づくりに必要な植林活動も行い、地球環境からも社会貢献を重視そこで、販売に従事されている、開発営業部の菅さんと竹本さんに、お話を聞いてきました。 ※撮影に際しては、感染防止策を講じ、撮影時のみマスクを外しています。

――無垢の木を使った大きなキッチンが入口を彩り、収納家具やフローリング、その他多くの住宅設備がすらりと並ぶ、WOODONE PLAZA新宿ショールーム。実際の住まいをイメージした展示ブースもあり、無垢の木ならではの質感やぬくもりを感じることができます。リフォームのタケウチのプランナーKさんがショールームにおじゃまし、お話をうかがってきました。

1.“木からの創造”苗木から育てて製品にする

フローリングの前身「縁甲板」で発展

リフォームのタケウチ、プランナーKさん

リフォームのタケウチ プランナーKさん(以下Kさん)こちらのショールームには、システムキッチンを中心にたくさんの製品が並んでいますが、どれも木の森をぬくもりを感じさせるもので、本当にオシャレですね。最近のテレビドラマで登場するキッチンも、ウッドワンさんのものが多く使用されていると聞いたのですが。

ウッドワン竹本さん(以下竹本さん)ありがとうございます。弊社では、お風呂とトイレを除く住宅設備や内装全般を扱っていますが、そうですね、特に人気の製品がキッチンです。これまで数多くのドラマで美術協力させていただいていて、数で言うと年間6本にも及びます。

ウッドワン竹本さん

Kさんそんなに使われているんですね!しかし、御社の成り立ちというか、創業時は元々、キッチンではなく木材を販売されていたわけですよね?

竹本さんはい。昭和10年に広島県で木材業として創業しました。中国山地の杉の木を切って加工し、床や足場板、今では少なくなりましたがトラックの荷台の底板などを作っていました。その後は「縁甲板(えんこういた)」と言うんですが、昔の家には必ずあった縁側用の床板も生産するようになりました。

左から、ウッドワン菅さん、竹本さん、タケウチのKさん

Kさん縁甲板、わかります。今も時々ですが、お客さまから張り替えをお願いされるので。

ウッドワン菅さん(以下菅さん)会社を大きく成長させたのが、その縁甲板でした。 「フロング」という製品名で売っていたのですが、それまでは縁甲板といえば無垢材を使った「単層の板」しかなかったのですが、ヒノキやケヤキの木をスライスして単板(たんぱん:木を薄く剥いだもの)にし、べニアなどの合板に貼り付けた「複層の板」を作りました。 しかも、12尺(約360cm)の長尺にした。この長尺合板の発明が画期的だったわけです。

Kさんそれが、今のフローリングにつながっていくわけですよね。どのくらい前のことですか?

菅さん弊社、住建産業グループは2020年で69年目を迎えたのですが、その前身なので70年ほど前ですね。 少し補足すると、その後は表面の単板を、天然木の味わいを表現した特殊樹脂シートにしたフローリング板が登場し、今ではそれが市場の7割を占めるようになってしまいました。

 

30年も前から行ってきた森林保全活動

出典:ウッドワンカタログ「suiji(2020)」

Kさんウッドワンさんの現在の主力製品は、キッチンをはじめ無垢の木を使った製品ですが、こうして創業から歴史おっていきますと、今はいわば原点回帰されたわけですね。これはどうしてですか?

菅さん弊社は、ニュージーランドの森林で苗木から木を育てて、無垢の木のぬくもりある製品に加工し、お客さまにお届けする、という活動を行っています。 1990年にニュージーランド北島で森林経営権を取得し、植林を開始しました。経営する森林の面積は約4万ヘクタール。東京ドームで言うと3万2千個分です。

Kさん東京ドームだと3万2千個分…。広すぎてイメージが(笑)。その中全てにウッドワンさんの木が植わっているわけですか…!

 

 

 

 

菅さんそうですね。全体ですと、日本の新築住宅の半分位をまかなえるほどの量になります。ですが、植林しているニュージーランドパインが約30年で成育することから、全体を30区画に分けて、1年に1区画ずつ苗木を植えてきました。各区の木を、30年後に伐採する30年サイクルを回していく計画植林を実施することで、木材の有効活用だけでなく、環境保全にも役立てています。2020年で、ちょうど30年を迎えて、最初に植林した苗木が伐期となりました。

Kさん今でこそ、森林保全活動を行う企業が増え、CMなどでも植林の様子をよく目にしますが、30年前というと、環境問題が取り上げられることも少なかったわけで、その当時にニュージーランドの森林経営権を購入されたというのはすごいですね。

菅さん確かに創業者には先見の明があったと思います。 こうした取り組みを行っていることもあり、会社としては、無垢の木の製品を増やしていく、いわばその新たなスタートに立ったところなんですよ。

――30年も前から、将来の地球環境も視野に入れた継続可能な資源づくりに取り組んでいたとは、驚くばかりです。木を取り扱うプロフェッショナルとしての姿勢を感じますね。

このお話は、リフォームのプロに聞いてみた【コラムVol.16 part2】に続きます。お楽しみに!

 

リフォームコラム 【Vol.16 part2】は、2021年1月29日頃に更新予定です。