住まい・暮らしのリフォームコラム

メーカー&職人インタビュー 【Vol.25】

壁紙から床材、ファブリックまで、トータルコーディネートによる理想の空間づくり

2022年10月28日

愛知県名古屋市に本社を置き、壁紙、床材、カーテンといった内装材をトータルに扱うインテリア業界のリーディングカンパニー、株式会社サンゲツ。品川駅港南口から徒歩5分という便利な場所にある品川ショールームでは、広々とした空間に約1万2000点もの製品が展示され、実物を見て選ぶことができます。今回はリフォームのTAKEUCHIリフォームプランナーTさんが、ショールームを見学しながら、製品の特徴や選び方、上手なコーディネートのポイントもうかがいました。 ※撮影に際しては、感染防止策を講じ、撮影時のみマスクを外しています。

1. “スペースクリエーション企業”への転換を目指して

写真左:リフォームのTAKEUCHIプランナーTさん、写真右:サンゲツUさん。

リフォームのTAKEUCHIプランナーTさん(以下Tさん)インテリア内装材のブランドとして、日本でもトップシェアを築かれていますが、サンゲツさんの歴史を簡単に教えていただけますでしょうか。

サンゲツUさん(以下Uさん)はい、サンゲツは、江戸・嘉永年間の1849年に、襖や屏風、障子を扱う表具店『山月堂』として創業しました。それから約100年後、1953年に『株式会社山月堂商店』を設立。1970年には現在の社名「サンゲツ」となり、時代の変化に対応しながら成長してきた企業です。

サンゲツのホームページより。会社概要、沿革、理念が細かに掲載されている。

Tさん実は弊社も慶応元年の1865年に創業した会社なんですが、サンゲツさんもずいぶん長い歴史があるんですね!ホームぺージの沿革の最後にある“スペースクリエーション企業”とは、具体的にはどんなことを表すのでしょうか?

Uさんはい、当社は商品自体の美しさや機能といったモノのデザインは勿論、その先にある空間と、そこでの人々の心や行動を考えるコトのデザインを提供することを目指し、従来の“モノ”を販売する会社から、空間をデザインし“コト・空間”への販売を中心とした“スペースクリエーション企業” へ、新たな成長に向けた事業モデルの転換を行っています。具体的には、内装材の販売・提案に留まらず、調達から製品開発、提案、配送、施工といった各機能をクリエイティブな構想力を似って組み合わせることで、社会への提供価値としてデザインします。

Tさんなるほど。御社の歴史と製品、ノウハウをさらに大きく発展させ、“空間デザイン”としてお客様に届けるということですね。

カタログ毎にまとめられた壁紙のサンブルブース。

Tさん内装材では国内でもトップですが、どのくらいの製品を扱っているのですか?

Uさん壁紙だけで4000点以上、床材が2000点以上、カーテン・椅子生地といったファブリックなどを含めると、1万2000点を超える製品をトータルに取り扱っています。

Tさん膨大な数ですね。ショールームも広くて見ごたえがありますよね。私も商談中のお客様をご案内する度に、いつ来てもワクワクしてしまいます。バリエーションが豊富なので、誰でもイメージに合う素材と出会うことができます。でも逆に、製品数がこんなにあるといつも迷ってしまうんです。

壁紙を貼る場所、機能性、好みのテイスト等を選んでいくと、ぴったりな壁紙をナビゲートしてくれるタッチパネル。

壁紙の展示ブース。通常サンプルはA4サイズだが、ショールームでは1×1ⅿ程のサンプルを確認することができる。

Uさんショールームのテーマは“インテリアのクローゼット”なんです。いろいろなアイテムが並んだクローゼットから洋服を選ぶような感覚で、好みの壁紙、床材、カーテンなどをチョイスし、お部屋のコーディネートを考えていただけたらと思います。

Tさんなるほど。確かにファッションとインテリアは、好みや個性が反映されるなど共通点がありますよね。ショールームに来ると製品の機能性が体感できたり、トレンドがわかったりして、私のような空間作りに携わる者も勉強になりますので、よりお客様に適切なご提案ができます。ちなみに普段見学に来られるのは、どのような方が多いですか?

実際の部屋をイメージした空間ブース。トレンドである“くすみカラー”で、モロッカン (モロッコ風)にまとめられたインテリア。広い壁は2種類の壁紙を用い、腰壁の仕様で仕上げられている。

Uさんショールームに来られるお客様は、カタログだけではイメージがしづらく、「実際に見たい」「アドバイスがほしい」という方が多いです。 壁紙の展示スペースではカタログよりはるかに大きな見本が見られますし、実際のインテリアをイメージした空間ブースでは「クールエレガンス」「ノルディック」「プリミティブ」「モダン」などテーマを設けて、インテリアスタイリストがトレンドをおさえたコーディネートをしています。

Tさんこれなら、ブースごとに日常の生活シーンを思い描くことができますね。

Uさんはい。ひとつの世界観のなかで、壁紙と床材、ファブリックなどの組み合わせや施工例をイメージしやすいと好評です。ブースを見て同じ壁紙にしたいというお客様が多いので、使用している製品の品番が書いてあります。

Tさん真似したくなるようなコーディネートがたくさんあります。くすみ系のグレイッシュカラーを使うなど最近の流行を取り入れている感じですし、腰壁として切り替えられた2種類の壁紙アレンジが素敵ですね。

寝室をイメージしたブース。天井は木目の壁紙で仕上げられている。

Tさんこちらは寝室ですね。落ち着いた青色と木質感の組み合わせがいいですね。下がり天井は、木目の壁紙を使っているんですね!

Uさんはい、空間に落ち着きをもたらしたり、緩やかなゾーニングとして、天井に木目の壁紙を貼りたいという方が増えています。天井だと距離もあるので、本物の板張りのように見えますし、さりげないアクセントにもなりますね。コストを抑えられる点もメリットかと思います。

――時代の変化に対応しながら成長し、業界の最大手として知られるまでになったのですね。ショールームのブースに展示されたコーディネート例は、一見の価値がありそうです。【コラムVol.25 part2】では国内市場約50%と圧倒的なシェアを築いている壁紙のデザインや機能性についてご紹介します。

 

リフォームコラム 【Vol.25 part2】は、11月4日頃に更新予定です。