壁紙から床材、ファブリックまで、トータルコーディネートによる理想の空間づくり.part2
2022年11月4日
愛知県名古屋市に本社を置き、壁紙、床材、カーテンといった内装材をトータルに扱うインテリア業界のリーディングカンパニー、株式会社サンゲツ。品川駅港南口から徒歩5分という便利な場所にある品川ショールームでは、広々とした空間に約1万2000点もの製品が展示され、実物を見て選ぶことができます。今回はリフォームのTAKEUCHIリフォームプランナーTさんが、ショールームを見学しながら、製品の特徴や選び方、上手なコーディネートのポイントもうかがいました。 ※撮影に際しては、感染防止策を講じ、撮影時のみマスクを外しています。
2. 空間の印象を大きく変える壁紙の選び方
Tさんサンゲツさんと言えば、壁紙からカーペットなどの床材、カーテンまで見本帳が充実していますが、何種類くらいあるのですか?
Uさん見本帳は、おっしゃった以外にも、椅子生地やラグも加えてすべて含めると、30種類ほどあります。壁紙に関しては、一般住宅用におすすめの壁紙を収録した「リザーブ」「ファイン」が、毎年交互に改訂を行って鮮度を保っています。トレンドや市場ニーズに合わせて、約30~40%程度が新しく入れ替わります。
Tさん一年毎に30~40%入れ替えとなると、新しいデザインを考案するのも大変ですね。
Uさんデザインチームの企画担当者は、国内外の展示会に足を運んだり、お客様と接する担当の方の意見をヒアリングしたり、ニーズやトレンドを探って、オリジナルデザインを開発していますよ。企画担当者は自社製品が使われているお店などに入った途端、「これは何年の○○柄だね」とわかるそうです(笑)。種類はあまり多くないですが、「ロングセラー」という10年以上前からある製品もありますよ。
Tさん長年愛されるヒットデザインですね!「リザーブ」「ファイン」のほか、「エクセレクト」「SP」などのシリーズの見本帳もありますが、違いを教えてください。
Uさん「リザーブ」や「ファイン」にはベーシックなアイテムに加え、デザイン性と機能性を兼ね備えたものが収録されています。また、リフォームに適したものを抜粋した「リフォームセレクション」というカタログもあります。壁紙に厚みがあるため施工性がよいものだったり、水まわりの内装に向いたもの、汚れにくいものなどをセレクトしています。「エクセレクト」は和紙や織物、金箔を使用したものや、世界のグローバルブランドなど個性的な壁装材を収録しています。「SP」は、スタンダードでリーズナブルなものを集めたカタログです。
Tさんニーズによって分けられているんですね。たくさんあると迷ってしまいますが、リフォームの現場は厚みがあって施工性のよい「リフォームセレクション」からお客様にご提案すると安心ですね。
Tさんショールームを訪れるメリットは、やはり実物に見たり触れたりできるということでしょうか。
Uさんそうですね。見本帳ごとにまとめられ、大判サイズで見ていただき、コーディネートできるのが一番のメリットですね。小さなサンプルの見本帳とではかなり印象が変わると思います。サンプルを立てかけて、自由にコーディネートできるスタイリングテーブルも用意されていますので、壁紙を床材や照明などと組み合わせて、立体的に見て確認していただくといいかなと思います。
Tさんこれは楽しいですね!持ち帰って検討したいときなど、サンプルはいただけるのでしょうか。
Uさんはい。サンプルを希望される場合、A4サイズになりますが受付でもお渡しできます。お客様自身でQRコードを読み取って、弊社のWEBサイトから手配していただくことも可能です。
Tさん最近、特に人気のあるものを教えてください。
Uさんトレンドもありますが、世代によっても異なりますね。20~40代くらいの方には、柔らかい色味のストーン(石目調)や、縁部分に濃淡の変化があるモルタルブロック、タイルなどが人気です。お客様はリアルさを追求されるので、それに応えるべくサンゲツは、本物の石材からデザインを起こした壁紙もありますよ。
一方、50代以上の方は昔からある織物調を選ばれる方が多いですね。あたたかみもあり安心感があるのか、色味もベージュ系など落ち着いたものが人気です。あとはゴブラン織りのようなクラシック系や、エレガント系も長年ずっと人気があります。また、動物柄やキャラクターを使った北欧風の柄は、60代くらいの方に反応がよかったりします。
Tさん確かにその通りですね!リフォームのお客様も世代で好まれる柄が違います。貼る場所や組み合わせのポイントはありますか?
Uさん組み合わせのポイントとしては、床→壁→天井の順に、上にいくほど明るい色を組み合わせていただくと、空間全体が広く感じられます。また奥になる壁面に色味のある壁紙を貼ると、視覚効果で奥行を感じることもできます。 また、高齢になると、だんだんと目の機能が衰えて濃淡がわかりにくくなります。床と壁、家具を同系色でまとめると境目が判別しづらいので、あえてはっきりとしたコントラストを意識すると、安全性という点でもよいですね。
Tさん「せっかくだからアクセントクロスに挑戦したい!」というお客様も多いのですが、選び方や貼り方のポイントはありますか?
Uさんアクセントクロスは、空間が引き締まるよう濃い色や柄の入っているものがおすすめです。ただ、広い場所に使うと圧迫感も出やすいので、まずは小さな空間、トイレや洗面室からチャレンジしていただくのがいいかと思います。また、最近ではテレワークの部屋などに、大胆な柄を使われる方は増えていますね。
Tさんなるほど。小さな空間で、自分好みに思いっきり冒険してみても面白いですよね。あと、機能性のある壁紙も開発されていると思いますが、どんなものがありますか。
Uさん根強い人気は、ブラックライトで光る蓄光性の壁紙ですね。お子様の部屋の天井に使用いただくと、夢があってかわいい空間になると思います。またお子様のお部屋でおすすめなのが、ハイグラフィカの壁紙シリーズです。身長計やイラスト、世界地図などがあしらわれ、貼る壁のサイズに合わせてオーダーもできる壁紙です。
他にも、耐久性が高い「スーパー耐久性」はひっかき傷に強く、ペットがいらっしゃるお宅におすすめです。更に、特殊フィルム構造により、油性ペンの汚れでも落ちる「フィルム汚れ防止壁紙」、花粉やダニなどのアレルゲン物質を吸着し、その働きを低減する「抗アレル壁紙」、最近ではウイルス対策を施した「抗ウイルス壁紙」、地震などによる下地の動きをカバーして、ひび割れを軽減する「ハードストレッチ壁紙」のニーズも高まっていますよ。
――数ある壁紙のなかから人気のあるもの、定番のものなどを教えていただきました。用途やシーンに合わせてデザインはもちろん、機能性も重視して選びたいですね。【コラムVol.25 part3】ではもう一つの主力製品である床材の選び方やオーダー製品をご紹介します。
株式会社サンゲツ東京支社 レジデンシャルデザイン室 Uさん(写真左)
インテリア好きからサンゲツへ入社、インテリアコーディネーターと二級建築士の資格を持ち、ショールームに来場されるお客様に理想とする空間のイメージを膨らませてもらえるよう、内装材選びからコーディネートまで提案。またショールームアテンドからディスプレイまでトータルに従事。
取材・文:Kyoko TODA 撮影:Tsutomu MURAYAMA
リフォームコラム 【Vol.25 part3】は、11月11日頃に更新予定です。