住まい・暮らしのリフォームコラム

メーカー&職人インタビュー 【Vol.26】

家のどこにいても冬も夏も快適! 健康に過ごせて省エネ効果も期待できる断熱リフォーム.part2

2022年12月2日

住宅設備建材メーカー最大手で、新築・リフォーム問わず多くのニーズに応えるべく、幅広い製品と住宅関連サービスを展開する株式会社LIXIL。住宅の高性能化と省エネの視点から、この度新たに開設された断熱性能の違いを体感できるショールーム、「住まいStudio」にTAKEUCHIのリフォームプランナーHさんが訪れ、高断熱な住宅がもたらす効果や一年を通して快適な暮らしを送るために必要なリフォームアイデアを体感しながら聞いてきました。

2. 断熱リフォームによる環境変化を比較して体感

Hさん断熱というのは目に見えない部分なので効果がわかりづらいのですが、基準となる数値はあるのでしょうか?

本城さん数値は「HEAT20(2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会)」の断熱評価基準を見ていただくのがいいと思います。こちらの資料は、当社の製品を使った断熱改修によって見込まれる断熱性能の提案書です。 リフォーム後は、HEAT20のG2に数値が近くなっていますね。

断熱診断例(サンプル)
「HEAT20」とは、より住みやすく快適な家を建てるために「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」より制定された断熱における住宅性能の評価基準。G1・G2・G3と3つのグレードがあり、G3に近いほど高い断熱性能となる。

平成28に制定された断熱基準を現在新築住宅には義務化しているが、今後2030年を目標にG1以上とする方針予定。

本城さんHEAT20では、日本を気候によって8つの地域に区分し、それぞれの気候に適した断熱性能の基準値を定めて、G1、G2、G3の3つのグレードで評価しています。断熱性の高さを示す数値は「UA値(外皮平均熱貫流率)」という基準で判断でき、数値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性・省エネ性が高いということになります。たとえば、5,6地域となる東京では省エネ基準はUA値0.87W/㎡・K。HEAT20のG1レベル(UA値0.56W/㎡・K)以上に引き上げたほうが、性能がよく快適な住まいになるということです。

Hさん聞きなれない言葉と数値で、聞いただけではイメージが湧きづらいですね…。

本城さんそうですね、お客様に理解していただくためにはやはり、「現在のお住まいではこの数値ですよ。でもリフォームすれば、この数値まで快適になります」と具体的に説明させていただく必要があると思います。断熱性能が高まることによって消費するエネルギーも減るので、なおイメージしていただきやすいかなと思います。断熱診断を受けていただければ、断熱リフォームの性能や効果が数値よって一目でわかるので、ぜひ実施していただきたいですね。また、その数値を意識していただきながら、これからご案内する「住まいStudio」で体感してみましょう!

本城さんここには「Studio -冬-」「Studio -夏-」の2つの体験エリアがあり、「Studio -冬-」では冬を想定した環境条件を再現し、「昔の家(昭和55年基準)」、「今の家(平成28年基準)」、「これからの家(HEAT 20 G2)」の3つの部屋で、断熱性能を体感することができます。

Hさんすごい設備ですね。わくわくします!

本城さんではさっそく「昔の家」から入ってみましょう。どの部屋もリビングが約8畳、廊下とお手洗いが約3畳で、暖房を20℃設定で入れています。外気温は0℃で、東京都の1月31日の朝6時の気温を再現しています。 異なるのは、窓サッシや壁断熱を時代ごとに再現していて、室内環境の違いを肌で感じていただけると思います。

Hさん「昔の家」は寒いですね。これでも昭和55年当時としては性能のいい住宅だったんですよね。

本城さん現在ある戸建てのうち、75%程度がこの部屋と同じ断熱性能と言われています。スリッパを脱いで床の冷たさを体感してみてください。

Hさんスリッパがないと長時間立っていられない感じですね。床を触っても冷たさを感じます。

本城さん次は窓を触ってみてください。

Hさんわー!すごくひんやりして冷たいですね。

「昔の家」のサーモグラフィ。床や窓が青色を示し、寒いことが分かる。

本城さん室内に設置されたサーモカメラでは、リアルタイムで室内を撮影しています。その画像を見ると、ブルーのところは10℃ですが、部屋全体が青くて非常に寒い空間だとおわかりいただけるかと思います。

Hさんガラス窓は特に真っ青で、窓際で過ごすのは厳しそうです。換気口の下も寒くて…。

本城さん部屋の中央温度が21℃で比較的暖かいため、どうしても冬場はそこに人が集まりますね。このような環境では生活できるスペースが限られてしまうんです。

Hさんトイレなども冷え切っていて、夜中に行くのはつらそうです。でも、子どもの頃に遊びに行ったおばあちゃんの家はこんな感じでした。

本城さんお客様でも実家をイメージされる方が多いです。昔は北側にキッチンがあって、お母さんは過酷な環境で料理をしていたんだなと思います。では、次に「今の家」へどうぞ。

「今の家」のサーモグラフィ。昔の家よりは黄色を示す率が高いが、窓や床が低い温度を示している。

Hさんさきほどの「昔の家」に比べると、少々暖かくなっている気がしますし、床の冷たさも比較的改善されてますが、スリッパを脱ぐと冷たさを感じます。

本城さん「今の家」は、窓はペアガラスに変わっています。「昔の家」と比べると、広範囲が暖かく感じられますが、まだ部屋全体ではありません。こたつなどの器具はなくてもよいものの、ホットカーペットやひざ掛けを使用したり、パーカーを羽織るなどの工夫が必要な室内環境と言えます。

Hさんサーモカメラの画像の色味も黄色の部分が増えましたね。しかし、暖房器具の力を借りないと、やはり寒いなと感じます。

本城さんそうですよね。では最後の「これからの家」を体感してみてください。

 

 

「これからの家」のサーモグラフィは全体が黄色を示している。部屋の中央値は23.6℃。

Hさんこれまでの2つの部屋と比べて、特に足元が暖かく感じますね。エアコンの設定温度が同じとは思えないです。サーモカメラの画像は、部屋全体がほぼ真っ黄色ですね。

本城さん部屋の上下の温度差がわずかしかないので、全体が均一に暖かさを感じられるはずです。

Hさんほかの部屋とはだいぶ違いますね。家全体が暖かく快適で、冬場の朝6時でこの環境なら寒くてつらいと感じないですね。日中、日差しも入れば自然に暖かくなりますし、暖房も最小限に抑えられる気がします。

本城さん「これからの家」の暖房のない部屋、洗面室とトイレにも入ってみてください。

Hさんリビングとの気温差があるので入った瞬間は寒さを感じますが、冬場の朝6時とは思えないです。上着を着なくても身支度できそうなくらいです。3つの部屋を立て続けに体感すると、「これからの家」は本当に暖かいことがよく分かります。

――3つの異なる室内環境の比較ができるのは体験型ショールームならでは。あちこちに触ってわかる、目で見てわかる工夫がされていました。【コラムVol.26 part3】では、断熱リフォームのメリットについてさらに詳しくご紹介します。

次回も【Vol.26】「家のどこにいても冬も夏も快適! 健康に過ごせて省エネ効果も期待できる断熱リフォーム」part3は、2022年12月9日頃に更新予定です。